森林伐採と土砂崩れの関係
現在の日本の森林は
過伐採が原因ではなく
人工林の放置などが原因で
土砂崩れが多発しているといえます。
その理由を簡単に説明させて頂きます。
1980年をピークに林業産出額が
減少の一途を辿っています。
林業の採算性が悪化しているほか
林業離れによる後継者不足や
就業者の高齢化などもあって
資源として利用できる森林蓄積は
年々増えているにも関わらず
多くの人工林がそのまま
放置されているのが現状に対して
近年では異常気象が増え、
猛烈な大雨や台風などが発生した場合
根が水を吸いきれずに土砂崩れが
発生しやすくなってきています。
〇手入れされている人工林
下刈りや間伐などで定期的に
手入れされた人工林は下層植生の
発達が良好であり雨水が染み込みやすい
枯れ葉を含んだ土壌を作り
降水時の水分を多く吸収し
地表流の発生を抑える働きがあるので
そこに降った雨は地中をゆっくりと移動し
澄んだ水となって川などに流れ出ます。
根の発達が促されて風雪害に強い
森林となるほか林内の光環境が良く
下層植生が繁茂し表土の流出を防ぐという
本来の役割を果たす森林になります
〇手入れされていない人工林
下刈りや間伐がされない山の地表は
日光が届かず、草木の根が張らないため
土が痩せていき下層植生が衰退し
水が浸み込みにくい土壌になります。
雨水は素早く地表を流れ落ちることになり
根が水を吸い切れず
土砂崩れを引き起こす恐れがあります。
〇戦後復興期から高度成長期
20世紀末頃から杉山林の土砂崩れが多く
聞かれるようになりましたが
戦後復興期から高度成長期にかけての
木材供給不足時代に
元来崩れやすい急斜面や岩層上の表土が
薄い箇所にまで植林を行ったことが
原因であるとも考えられます。
森林を活用した土砂崩れの対策は・・・
1.人工林の手入れ
人工林の植樹方法も大きな原因になり
植林する杉や桧の苗は挿し木による
クローン栽培が多く挿し木は
地中深くに伸びる直根が出てこないため
(種から生産する実生苗には直根がある)
台風や大雨などによって
簡単に倒れやすくなるのです(; ・`д・´)
天然更新や樹木の成長を助ける作業など
天然林であっても人手による管理が不可欠
2.野生鳥獣による森林被害を防ぐ
鹿や熊など野生鳥獣の食害や
剥皮被害を防がないことには
土砂崩れに強い森林を
整備することはできません
3.広葉樹林の保全
その場所で育った広葉樹林は
多様な樹種を持ち
地域への適応力も強い森林です。
ちなみに・・・
深根性:根を深くまで伸ばす。
根系直径10mmの引き抜き抵抗力は
杉、桧と広葉樹(ナラ類)は100kgf程度
赤松はその半分、唐松は4割程度
杉は土砂災害に強い森林づくりに好ましいのです!